子どもに対する親のエゴ

親と子どもの関係は単純なようでいて、実のところけっこう複雑な人間関係です。
親は子どもを自分の分身であるかのように考え、自分が成しえなかった理想を押し付けようとすることがあります。
また、自分が幼い頃に負った苦い経験が原因で、子どもにいい思いをさせまいと辛く当ってしまう場合もあります。
どちらも、子育てにおいてあってはならないことだというのは、誰でもわかることですよね。

今回は上記の悩みの中でも前者の方に重きをおいてアドバイスさせていただきます。
子育ては大変なものです。
育児ノイローゼになってまで手塩にかけて育てた子どもであるがゆえに、よい人生を送ってもらいたいと思う気持ちはよくわかります。
過剰に心配してしまう思いも、理想どおりの人間になってほしい気持ちからでしょうが、その前によく考えてみてください。
それは本当に子どものことを想っての愛情によるものでしょうか。
親としての義務感によるものではありませんか?

義務感が余計なものというわけではありません。親としての責任を果たそう、という気持ちは大切なことです。
しかし、愛情とどちらに比重をおくかによって、子どもが感じる束縛感というものは大きくかわります。
子どもの親に対する反抗は親から受ける束縛から逃れようとして起こるものです。
親は「心配」という名の束縛で子どもの行動を制限する傾向があります。
私は幾度となく子育ての悩み相談を受けてきていますが、そのたびにこのことを話しています。
周囲から求められる親としての責務や義務感による心配ではなく、心から子どもの幸せを想う愛情による心配。
それができることが、理想的な親としての子どもとの人間関係なのです。

親子だって違う人間

子どもは往々にして生まれたときから親と共に過ごします。
だからでしょうか、子どものことなら何でも知っていると親が考えてしまうのは。

「この子が赤ん坊のときから見守ってきたのだから、この子の考えることはなんでもお見通し」
そう考えるのは間違いだということに気付かなければなりません。

親であれば誰でも、子どもの考えがお見通しなら、こんなに世の中、育児に悩みを持ち、苦しんでいる人間はないはずです。
我が子といえど、別々の人間。
異なる体、異なる心臓、異なる脳を持っています。
例え同じ環境で過ごしていても考え方は人間によって違うものですし、特に子どもともなると成長するにつれて思考回路はどんどん複雑になります。
理解しようとする努力は親として必要不可欠ですが、こう思っているに決まっていると決めつけて接しては、子どもに心の悩みを抱えさせる原因になりかねません。
その思い込みが激しいと、子どもを束縛し、苦しめることになってしまいます。
感性が豊かでのびのびとした子どもに育てるには、子どもも一人の人間であることを忘れてはいけません。

また、違う人間であることを念頭におかなければいけないのは、逆の立場においてもいえることです。
親なんだから自分の悩みは分かってくれているはず、と考えるのは勝手な思い込みにすぎないのです。

これらは親子関係以外でもいえることです。
どんなに似た環境におかれていても、たとえ性格が似ていても、違う人間である限り考え方は異なって当然です。
それが個性というものです。
自分の考え方を押し付けずに、それぞれの個性を尊重して、その上で理解しようと努めることが、親子関係をはじめとした人間関係を築く上でのポイントでしょう。